何か大切なこと

ある夏の日、重い障害を負った息子が野球に興じる友だちを見て
「自分も野球をしてみたいが、入れてくれるだろうか?」と父に聞きま
した。
半信半疑の父親が子供たちに頼むと、意外にも「ぼくらのチームは
負けかかっているから良いですよ。この回に守備について、次の回に
打順が回るようにします」という答えが返ってきました。
息子はもがくようにグラウンドに駆け出し、守備につきました。初めてグ
ローブをはめた息子の輝く笑顔に、父親の目が潤みました。
ところがその後、試合の勢いが変わり、九回裏に息子の打順が回ってく
るときは二死満塁。逆転のチャンスとなりました。野球のバットを握っ
たことも無い息子が打席に立てば、ゲームセットは間違いありません。
にもかかわらず、子供たちは約束を守りました。
ピッチャーはバッターボックスに入った息子を見て、相手チームが勝ち
を度外視し、何か大切なことをしようとしていることを察しました。そ
して、マウンドから打席に近づくと、そっとボールを放ったのです。
渾身(こんしん)の力を込めて息子が振ったバットは球をかすり、ピッ
チャーゴロ。投手がボールを拾って一塁に投げれば、それで終わりでし
た。ところが、彼が投げたボールは一塁手の頭のはるか上を通り過ぎま
した!
チームメイトが叫びます。 「二塁まで行け!走れ!走れ!」 息子は、
これまで見せたことも無い力を振り絞り、二塁を目指しました。一塁手
もピッチャーの意図を悟ったのでしょう。ボールは二塁手がジャンプし
ても届かない高みを飛んでいきました。
「三塁だ!走れ!走れ!」 観客も総立ちになって声援を送り始めまし
た。外野手のボールも三塁手のはるか頭上を通り過ぎました。
「ホームだ!ホームへ走れ!本塁打だ!」チームメイトたちも、観客も、
相手チームの選手たちも一緒になった大声援のなか、息子は逆転のホー
ムを踏みました。この日、息子はチームを勝利に導いたヒーローになっ
たのです。家に凱旋したヒーローを、妻は涙を浮かべながら抱きしめま
した。
息子は次の夏を見ることなく亡くなりました。しかし、人生にたった一
度、自分がヒーローになれたあの日のことを胸に逝ったのです。
(ここから転載させていただきました。
http://archive.mag2.com/0000229939/20090116090000000.html )
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オレ、こーゆー話、好きだな。
「勝ち負けとかお金とかそんなん関係ねーよ!」なんてきれい事ばかり言ってたんじゃ生きてはいけない世の中だけど、やっぱ人間にはもっと大切なことがあると思う。
「人間というものは、貧しく弱い立場の人々をどのように扱うかで、その人の品格や懐の深さがわかるのである。」





コメント[2]
確かに、その通りですね。
同じことで、「自分に近づこうとする、しかし自分には利益のない他人的存在の人々」をどう扱うかでも、その人の品格や懐の深さはわかります。
Posted by 同じこと at 2009年1月17日 21:51 | 返信
なんか泣いてしまった。。。
自分の心にある大切なものを無くさないで生きて行きたいね。
Posted by Anonymous at 2009年1月17日 22:54 | 返信
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